多くの出会い、そして別れ‥‥

 また、その後に出会ったTさんとは冒険中はもちろん、ロビーでもいろんな話をしました。昔のゲームの話、使っているパソコンの話、それからまったく関係ない話まで。「今度光回線を導入するんだ」と、嬉しそうに話してくれた事もありました。名前も顔も、どっちが年上かも知らない相手とこうやってゲームを通して話をしているのが不思議であり面白かった。TさんはPSOの中での友達が多く、いつも廻りには人が集まっていました。半ばPSOにも飽きていたこともあり、その集まりに参加するためにログインしていた時もありました。二人で冒険に行った時に、「さん付けしてないで、Tと呼んでくれ。それから敬語なんて使わなくていいよ」と言ってくれました。「でもTさんにはいろいろ教えてもらってるからPSOの師匠みたいなものだし、助けてもらってばっかりだから」と言うと、「俺だって助けてもらうし、師匠でも弟子でも無い。俺たちは仲間だろ?」と言ってくれました。単純な私は感動しました。実生活では「俺たちは仲間だろ?」なんて(恥ずかしくて)あまり言いませんが、ゲームの中では自然でした。でもその後もTさんて呼んでましたけどね。Tさんにはネットゲームの、レベル上げだけではないコミュニケーションの楽しさを教えて頂きました。
 その他、たくさんの人に出会いました。ロビーの壇上でいきなりギレン・ザビの演説テープを流す人、同じ格好をして踊っていた三人娘、酔っぱらって何を話しているのかわからない人、英語と日本語がごちゃ混ぜになっている外人さん、私のキャラ名をいきなり叫び「あっち行け!」と言ったかと思うと「あ、ごめんごめん。あなたのキャラ名とウチの犬が同じ名前なんだ」と言う人、後ろの方から「いつまでゲームやってるの!」と奥さんの声がする人、ジュースをこぼして大騒ぎしている人etc.‥‥。毎回、新たな感動と楽しさがありました。そんな自分もボイスチャットでプレイしている時は「ゲームしながら独り言を言っている。ついに気が狂ったか」と隣の部屋の弟に思われていたみたいだし。
 そんな感じで、暇な時はPSOをしていた(かプロ野球を観ていた)のですが、仕事の方が忙しくなり暫くログイン出来ない日が続きました。2ヶ月くらい経ち、暇ができたので久々にログインしてみると「やっと見つけた!」と言って以前フレンドカードを交換したTさんの友達が冒険中にも関わらず飛んで来てくれました。「探したよ〜。しばらく来てなかったね。実はTがずっと探していたんだけど、なかなか会えなかったので伝言を頼まれているんだ。」と言って、こう続けました。「Tがね、FF(ファイナルファンタジーXI)に移るんだって。それで、一言挨拶しておきたかったらしいんだ。もう、あまりPSOには顔を出さないらしい。」ショックでした。もうログインしてもTさんと冒険が出来ないと思うと、名前も顔も知らない人なのに会えなくなる事がすごく寂しく感じました。でも仕方ない事なので、自分もお礼が言いたいから方法はないかと尋ねると、「ここにいるらしいから覗いてみれば」と、Tさん達が集まるホームページを教えてくれました。早速そのホームページに行って掲示版に書き込みました。そして何回かのやり取りの後、私たちはTLFOでまた会おうという約束を交わしました。その後、また仕事の方が忙しくなってしまい自分も殆どログインする事がなくなりました。そしてクレジットカードの期限が切れると同時に、PSOにログインする事はなくなりました。(結局、さんざん発売が遅れたTLFOは開発中止が決定する。それを知った瞬間、ウチのXBOXはファン音の異様にうるさいDVDプレーヤーと化す)
こうして、私の初めてのネットゲーム体験は終わりました。プレイした期間は半年くらいですが、その間にゲームの中という異世界でPSOを通して数えきれない感動と、少しばかりの寂しさを経験しました。それはもちろんPSOというゲームの持つ楽しさもありますが、それ以上に素晴らしい人達にめぐり会えたのが大きいと思います。今後、ゲームでこれ以上の体験が出来るかわかりませんが、このゲームをプレイした思い出は忘れないでしょう。そして、PSOで出会ったたくさんのハンター、レンジャー、フォースの皆さん、ありがとう。もしまたどこかで逢う事があったら‥‥その時はまた一緒に楽しく冒険したいですね!(2003年8月)
 追記:このあと、素晴らしいフラッシュムービーを教えて頂きました。リネージュを題材にしているのですが、感じた事が似ている部分もあり再び想い出が甦って感動しました。是非観てみてください。(→こちら) (2004年9月)