|
初めてのネットゲーム
ドラゴンクエストやファイナルファンタジーに飽きてしばらくゲームから遠ざかっていたある日、何の気無しに観たムービーが私を再びゲームの世界へ誘いました。『ファンタシースターオンライン(以下PSO)』セガのアクションオンラインRPGゲームです。そのムービーは、ただ自分の分身が洞窟っぽい所を進みながら敵を倒していくだけの何の工夫も無いムービーだったのですが、魔法の派手さ、自分達より大きな敵の数々、実際にその場に居るのではと錯覚させる(これは大げさだが‥‥)臨場感、そしてなにより私を引きつけたのは世界(これも大げさですね)のプレイヤーと連絡を取りながら進んでいくネットワークゲームであったこと‥‥元々ドラクエ2をやりながら「あー、友達とくだらない事話しながら一緒に冒険したりドラゴンを倒せたら面白いだろうな〜」なんて思っていた私にはまさに「こういうゲームを待っていた!」でした。しかし情報を集めていくうち、Windowsとゲームキューブ、それから最近リリースされたXBOXでしかプレイ出来ない事を知りました。「このゲームのためにハードを買うのはどうかな〜?」と躊躇していた私ですが、数分後公式ページに置いてあったムービーを観て「TLFO(トゥルーライブファンタジーオンライン‥‥マイクロソフトが今後発売予定のXBOX初のMMORPG)も出るし、会社の同僚も鉄騎を買うって言ってたからXBOX買っちゃおっかな」に心変わりしていました。
早速その週末、XBOXの入った手さげ袋を指がちぎれそうになりながら(そのくらい重い)家に持ち帰り、TVに繋ぎました。クレジットカードの認証などを済ませ、いざ「ラグオル(PSOの舞台)」へ‥‥と思ったのですが、まずは自分の分身となるキャラクター作成。職業は最初のムービーでいいと思っていた魔法使い。派手な魔法を使いまくるのが楽しみでした。服装は「赤い彗星」のシャアのイメージで真っ赤にしました。これでようやくラグオルへ降り立てます。早速オンラインに繋ぎたかったのですが、ある程度操作に慣れてないと他のプレイヤーに迷惑を掛けてしまうので、操作に慣れるまではオフラインでプレイすることにしました。それがなかなかうまくいかず‥‥動作の遅い敵に対してもあわわあわわ言っているだけで‥‥すぐにやられてしまうんですよね。でも、このゲーム面白い!と思ってやっているとコツもつかめ、レベルも上がりある程度の戦闘をこなせるようになっていきました。そして調子に乗って最初のステージのボス戦へ。ドラゴンの大きさと強さに驚きながら何度もやられまくりました。こりゃ一人じゃ難しいな‥‥と判断した私はついに人生初のオンラインプレイへと身を投じるのでありました。
期待と不安を感じながらオンラインに繋ぐと、ロビーと言われるところにワープさせられました。ロビーではすでに多くのプレイヤーで賑わっていました。「わあぁ、いっぱいいる‥‥これがネットゲームだ‥‥」などど感動しながらしばらくはロビーをうろついていたのですが、飽きて来たのでゲームに参加する事にしました。ドキドキしながらラグオルに降り立つといきなり他のプレイヤーの方から「こんにちは!」とか「初めまして!」とか声を掛けられました(吹き出しですが)。私も吹き出しで返そうと思ったのですが、キーボードが無い事に気づき、ボイスチャットで返事をしました。初めてである事を伝えると、「大丈夫!」と優しく迎えてくれました。こうして一緒に戦いに参加することになったのですが、要領がわからずうろちょろするばかり。そんな自分に「とりあえず魔法でも一発当てておけば経験値が入るから」と親切に教えてくださいました。レベルが上がるとみんなが「おめでとう!^^」と言ってくれたり、死んでもすぐに生き返らせてくれたり‥‥とにかく驚きと感動の連続でした。そして迎えたドラゴンとのリベンジ。一人ではあんなに何度も死んでも結局倒せなかったドラゴンをいとも簡単に打ち倒せました(自分はあまり貢献していない)。そして街へ帰還。他愛も無い話をしつつ、フレンドカードを交換して別れました。こうして初めてのオンラインプレイは大興奮のまま終わりました。
次の日も、会社から帰って来るなりオンライン。今度は誰かの部屋に参加するのではなく、自分で部屋を作って遊ぶ事にしました。部屋の名前は「超初心者です」。そのままなんですが、このほうがもし後から入って来た人がいても説明の手間が省けると思いこれにしました。そうして遊ぶ事数分、一人の方が入ってきました(Sさん:キャラ名)。Sさんはレベルが結構上だったので、ここでやっても楽にクリア出来るし経験値も入らないからつまんないんじゃないかなと思ったのですが、どうやら私のレベル上げを手伝いに来てくれたみたいでした。
その後もSさんは、私がログインするたびに「頑張ってますね!」などとメールをくれたり、「魔法使いはこれが大量に必要でしょ?」と言ってMP回復アイテムをたくさんくれたり、「俺、これ使えないからあげるよ」と言って珍しいアイテムをくれたりしました。道に迷ってうろうろしている時に、ログインしたばかりのSさんを呼んで助けてもらったこともありました。そしてエピソード1のラスボスと初めて対した時のことでした。もともとHPが少ない魔法使い、しかもまだ実力の足りていない私は何度も即死しました。その度にSさんはアイテムを使って生き返らせてくれました。でも結局すぐまた死んでしまうので、「もう負担になるだけだから生き返らせなくていいですよ」と伝えると「何を言っているの。一緒に生きてクリアしないと意味ないでしょ。」と言ってくれました。Sさんは私をいつも気にかけてくれていました。結局その時はSさんも死んでしまってクリア出来なかったのですが、オフラインのゲームでは決して味わえない「人とのつながり」を感じました。
|
|
|